眼瞼下垂
眼瞼下垂とは
上まぶたが垂れ下がり、目が開きにくいと感じたり、前方や上方が見えにくく視野が狭くなった状態を眼瞼下垂といいます。
多くは高齢の方で後天性眼瞼下垂といいますが、パソコンの長時間使用やハードコンタクトレンズの着用などが原因で、若い方にも増えていると言われています。
また、生まれつき上まぶたが下がっている場合は先天性眼瞼下垂といいます。
眼瞼下垂は、前が見えにくいだけでなく、肩こりなどが激しい、額に大きなしわができるといった症状にもつながります。
症状
まぶたが下がる以外に、二重の幅が広くなる、眉毛の下が陥凹する、三白眼(黒目の下に白目が見える)、眉毛が上がって額に皺がよる、顎を上げて前を見るなどがあります。
症状は夕方になるほど強くなり、まぶたが重くなり眼の疲れや緊張による肩こり、頭痛などを来すこともあります。
初期の段階では筋肉を一生懸命収縮させ、眉毛を持ち上げたり、顎を上げて補うため下垂が目立たないこともあります。
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後天性眼瞼下垂とは
腱膜性眼瞼下垂 (けんまくせいがんけんかすい)
一番多いタイプです。
まぶたを持ち上げるのは筋肉ですが、途中から薄い腱膜となって瞼板という硬い組織に付いています。この腱膜は薄いので伸びて緩んだり瞼板から外れたりすると筋肉が収縮してもまぶたが上がらなくなります。原因として多いのは、まぶたを擦ることです(アトピー、花粉症、コンタクトレンズ、化粧、逆まつげなど)。年をとると程度の差はありますが、かなりの方が眼瞼下垂になるようです。
(筋肉には眼瞼挙筋とミュラー筋の2つがありますが、わかりやすくするために眼瞼挙筋のみ図示しています)
皮膚弛緩性眼瞼下垂 (ひふしかんせいがんけんかすい)
皮膚が弛んで垂れ下がることで瞳孔を覆ってしまった状態です。
二重の方は見た目は一重になり、三角形の目になります。
一見、腱膜性眼瞼下垂と同じように見えますが、筋肉や腱膜、神経にも異常がなく、まぶたの縁は上がっています。
通常は高齢の方に生じるので腱膜性眼瞼下垂に合併していることも多いです。
その他
神経によるもの
神経自体の疾患や、腫瘍の圧迫、手術の影響、外傷などが考えられます。
筋肉によるもの
重症筋無力症、ジストロフィーなどがあります。
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先天性眼瞼下垂とは
生まれつき眼瞼挙筋が全くなかったり、発達が悪いためにまぶたを上げることができない状態です。
視力や発達をみながら適切な時期に全身麻酔での手術となりますので入院可能な施設(倉敷中央病院など)での治療となります。
眼瞼下垂の手術
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後天性眼瞼下垂の場合
局所麻酔での日帰り手術になります。
腱膜性眼瞼下垂症
極細の注射針で局所麻酔をします。
ふたえの線で皮膚を切開します。
弛んだ腱膜をしっかりした部分で瞼板と固定しなおします。
最後に皮膚を縫い合わせます。
1週間で抜糸します。手術後約1~2週間は特にまぶたが腫れるので、それを見越した上で手術の日程を決める必要があります。術後は良好な視界が得られます。腫れが退けば傷は二重の線と重なって目立ちません。
もともと一重の方は術後に二重になります。
皮膚弛緩性眼瞼下垂症
同じく局所麻酔を行います。
弛んだ皮膚の量に応じて皮膚を切除します。ふたえの線で切る場合と(図)、眉毛の下で切る方法があります。
腱膜に問題なければ、皮膚を縫合して終了です。
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先天性眼瞼下垂の場合
生まれつき眼瞼挙筋が全くなかったり、発達が悪いためにまぶたを上げることができない状態です。
視力や発達をみながら適切な時期に全身麻酔での手術となりますので入院可能な施設(倉敷中央病院など)での治療となります。
眼瞼下垂の手術費用(保険適応)
3割負担の方 両瞼で43,200円(片目21,600円)75歳以上など1割負担の方 両瞼で14,400円です。
腱膜性眼瞼下垂の手術前後の症例写真
施術の内容:
治療前の右瞼は左に比べ下がっており、瞳孔(黒目の中央)が半分程度覆われています。
ここまで下がると上方だけでなく前方も見えにくくなります。
局所麻酔後に、二重の線で切開して瞼を持ち上げる挙筋を糸で適した位置に固定しています。
術後2ヶ月の治療後の写真では目の開きに左右差がなく瞳孔もしっかり見えています。腫脹も退いています。
リスク、合併症:
腫れが1週は強く、1〜2ヶ月は軽度の腫れが残ります、内出血も時々ありますが、写真で赤味も腫脹も落ち着いています。
手術時には良好に瞼が開いていても、まれに時間と共に下がってしまう方もあります。その場合は再度調整をいたします。

眼瞼下垂(治療前)

眼瞼下垂(治療後)